「洗脳」と聞くと大げさだ、自分は絶対にかからないという人も多いですが、実は洗脳というのは私達の身近にあるものです。
私たちが「個性」だと信じていることも、所詮は「刷り込まれた外部情報の産物」に過ぎず、あなた起源の「完全オリジナル」ではありません。誰しもが、自分以外の誰かから情報や価値観を刷り込まれているものです。
つまり私たちは、自分が常に外部(他人)にコントロールされていること、誰もが多少の洗脳を受けていることを自覚しなければなりません。
しかし、洗脳の手口を知れば洗脳にかかるのを防ぐ方法や、洗脳にかかった人を解く方法も見えてきます。そしてそれこそが、あなたがあなたらしく生きていくための方法なのです。
そこで今回は洗脳の手口と洗脳を解く方法について調べました。
目次
洗脳の手口
洗脳の手口は色々とありますが、現代社会において頻出の手口は以下の通りです。
これらはブラック企業の経営者や詐欺師、マスコミや政府、宗教家から悪徳業者に至るまでありとあらゆる人たちに悪用されています。
したがって、これらの手口を予め知っておけば、それがそのまま最大の自衛となります。
同じフレーズを何回も繰り返すことで脳に刷り込ませる
「同じことを何度も繰り返し聞かせる」というのは、マスコミや宗教家、独裁者などが大衆を洗脳する時によく使う手法です。
人間の脳は、何度も何度も同じ情報が繰り返し入ってくると、それをそのまますんなり受け入れてしまうという性質を持っています。
これを利用して、断片的で分かりやすいフレーズを繰り返し聞かせることで、相手に印象だけを刷り込み、思考停止させる効果があります。
例えば、アメリカ大統領トランプ氏の「アメリカファースト」、ナチスのアドルフ・アイヒマンの「仇敵と和平」、オウム真理教教祖の麻原彰晃が唱えた「ハルマゲドン」などのフレーズが有名です。
本来、人間は「考えることが面倒な生き物」です。そのため、短くて分かりやすいフレーズを繰り返し聞かされることで「分かったこと」にしてしまい、考えることから逃げる習性があります。
特に、日常的に自分で考える癖がなく周囲に流されやすい人は、この洗脳テクニックは効果てきめんです。ほとんどの人はこのテクニックで洗脳されるため、思考力のある人でも「同調圧力」に屈し、いずれ順応してしまいますので、自分だけは大丈夫と思わないことです。
隔絶された空間に閉じ込めて外部との接触や情報を断つ
この方法はカルト宗教やブラック企業でありがちな方法です。
相手を密室に閉じ込めて、外部からの通信や接触を遮断することによって、限られた情報しか受けられない状況にします。もちろん、ここでいう限られた情報とは、洗脳する側にとって都合のいい情報です。
外部との接触を遮断することによって、洗脳を解いてしまうような「不都合な情報」や「外部からの助け」を防ぎ、洗脳を染み込みやすい状況を整えるのが目的です。
そこにはもう、あなたを洗脳から解いてくれるような人達の助けも、「これはおかしい」と思わせてくれるような中立的で正しい判断が得られる環境はありません。
そうして、閉ざされた空間の中で徐々に相手の人格や価値観を破壊していき、壊れきったところで洗脳側にとって都合のいい情報を刷り込むのです。
肉体的にも精神的にも弱らせ、思考停止状態へ追い込む
ブラック企業の研修でありがちなのがこの方法です。
人格を否定したり、無意味なことをさせたり、大声を出させたり、走らせたりと、精神的にも身体的にも弱らせることによって、「心身喪失状態」まで追い込みます。
これによって正常な判断力・思考力を奪いさり、洗脳が染み込みやすい状態にするのが目的です。
人間は通常時、自分の人格や判断力によって外部の情報や価値観を吟味することができます。しかし極限状況まで追いつめられると、その余裕がなくなり、あっさりと洗脳にかかってしまうのです。
恐怖や不安を煽り、扇動する
カルト宗教家やマスコミがよくやる手口です。例えば、
「第三次世界大戦が起きる」
「恐怖の大王がやってきて世界は滅亡する」
「大地震によって日本の人口の半分が死ぬことになる」
などと言って、ことさらに大衆の不安を煽ることによってパニック状態にさせ、正常な判断力を失わせるのが目的です。
人は正常な判断力があるからこそ、バカバカしい情報を一蹴し、洗脳を退けることができるのですが、恐怖や不安を煽ることで冷静さを失わせ、その隙に洗脳を仕掛けるのです。
例えば、過去にオウム真理教の麻原彰晃は「ハルマゲドンまで時間がない、人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対死ぬ」と言って、「ハルマゲドン(世界が滅亡するほど激しい戦争)」と「人が必ず死ぬ」という言葉で不安を煽りました。
そして信者たちの不安が極限まで達したところで、
「ハルマゲドンは回避できない。しかし、オウムが頑張って多くの成就者を出すことができれば、その被害を少なくすることができる。ハルマゲドンで死ぬ人々を、世界人口の4分の1に食い止めることができる。」
と、その不安から逃れるため方法を示し、信者たちを自分の意のままに動かすことに成功しています。
権威や暴力によって身も心も支配する
体育会系の教師やパワハラ上司、DV加害者がよくやる手口です。
まず洗脳を仕掛ける側は、暴力や暴言を使って極限の恐怖を与え「支配する側と支配される側」の上下関係を築きます。人間は、自分よりも「上」だと認識した者の発言を、素直に聞いてしまう習性があるためです。
また極限の恐怖を与えられることで、身体的にも精神的にも弱ってしまい「無力感や無価値感」を持ち始めます。これにより、支配する側の価値観をより受け入れやすい心理状態が完成します。
こうして相手が価値観を受け入れ始めたら、洗脳を仕掛ける側は、恐怖状態から急に一転して「安心」を与えます。
人間が本能的に求めている「安全」を一時的に与えることで「従うことが善」だと学習させ、洗脳を定着させるのです。
その結果、「相手の言うことに従う=安心(善)」という構図が出来上がり、自ら進んで洗脳を受け入れようとする人間の完成です。
相手の心の弱さに付け込む
洗脳の基本は恐怖や不安に付け込むことですが、相手の心理的弱さに付け込むのも定番です。
特に「自己否定感の強い人」は洗脳をかけるためにはうってつけの存在です。なぜなら、人間が自己否定に苛まれたときにマインドコントロールにかかりやすいためです。
自己否定感の強い人は「権威的な情報」に妄信しやすい傾向にあります。例えば、成功者が主催する自己啓発セミナーや、ネットワークビジネスにはまりやすいタイプ、意識高い系がまさにそうです。
彼らは自分の心のスキマにあった自己否定感が癒され「居心地の良い環境」として、自分以外の何か、自分を肯定してくれるものに強く依存してしまいます。そしてその依存心に付け込まれるのです。
自己の正当化(認知的不協和の解消)
ここで、知っておいてほしい人間の心理があります。それは「自己の正当化」です。
せっかく「この状況はおかしい」という心の声を聴いても、この心理機構によって、自分から洗脳状況にしがみつこうとする可能性があるからです。
自己の正当化
人は後戻りできない状況に追い込まれると「自分は正しいことをしている」「自分は正しい」と自らを正当化する心理が働くこと
ブラック企業に就職してしまった人が「労働時間が一日12時間程度なんてホワイトだろ」などと言いだしてしまったり、体罰を受けてきた体育会系の人が「今の自分があるのは体罰のおかげ」などと言いだしたりするのはこの心理機構が原因です。
ブラック企業に入社してしまい、一日12時間以上の労働が当たり前の状況に追い込まれてしまった以上、その人はもう、一日12時間以上働かなくてはならないその状況を肯定し、自分の状況を正当化せざるを得ないのです。
体罰を受けて育ってしまった以上、体罰にも意味があった、体罰を受けて育って良かったと思って自分の生い立ちを正当化しないと、自分は無意味に苦しめられてきたという事実に耐え切れないからです。
普通に考えれば、ブラック企業も体罰もない方が良いものですし、根絶されるべきものです。しかし、せっかくブラック企業や体罰をなくそうと働きかけても、ブラック企業や体罰を正当化しなければ自分の存在意義を見いだせない人も一定数いるので、なかなか根深い問題なのです。
洗脳にかからないためのコツ
洗脳はあの手この手で私達に襲い掛かってきます。その洗脳を退けるために効果的な方法は以下の通りです。
自分だけは大丈夫という思い込みを捨てる
まず「自分だけは絶対に洗脳にはかからない」という思い込みを捨てて下さい。
実は、一番洗脳にかかりやすいのが「自分は洗脳されない」と思っているタイプだからです。
人は誰しも洗脳にかかる可能性があります。「自分だけは大丈夫」という考えは、洗脳を仕掛ける側にとっては油断、付け入る隙でしかありません。
洗脳にかかった人だって、誰一人として洗脳されたくて洗脳されたわけではないのです。気づいたら洗脳されていたというのが恐ろしいところなのです。
洗脳の手口を知る
洗脳の手口を知れば、それがそのまま自衛策となります。
洗脳の手口を知っていれば、洗脳を仕掛けられた時にも
「あー、これはこの手口ね。次はこうくるんでしょ、知ってる知ってる」と、洗脳を軽くいなせる可能性が高まりますし、そもそもそういった場に近づかないようになります。
外部との接触や連絡を絶たない
洗脳を解いてくれるきっかけは外部に求めるしかありません。したがって、外部との連絡や接触は絶対に断たないようにしましょう。
洗脳の手口のところでも解説しましたが、洗脳を仕掛ける側は、とにかく外部との接触を断とうとしてきます。外部との接触は洗脳を解くきっかけになりやすく、洗脳を仕掛ける側にとって非常に都合が悪いからです。
であれば、外部との連絡を取っておくことが洗脳対策に効果的であるということは言うまでもありません。
まとめ
洗脳は決して魔法ではなく、誰しも罠にはまる可能性があると認識することが大切です。
日本はかつて、多くの人たちが洗脳された結果、地下鉄サリン事件という悲惨な事故を起こした過去があります。現代社会でも、ブラック企業に洗脳されきった社畜たちがあちこちで見られます。
つまり、現代社会を生きていくためには、誰しもが洗脳にかかり得るという事実を知り、洗脳にかからないように常に自衛することが大切なのです。